教育記録
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        那古小学校の研修  

1 研究主題

「わかる」「できる」を実感する算数科授業の創造
〜算数的活動の効果的な活用を通して〜

2 主題設定の理由
 (1)今日の教育課題から
  21世紀は、「知識基盤社会」の時代であると言われ、変化の激しい社会の中で主体的に生きるために、確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和を重視する「生きる力」をはぐくむことが重要になっている。
  OECD(経済協力開発機構)のPISA調査など各種の調査から我が国の児童生徒については、以下のことに課題が見られた。
    @思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述式問題
    A知識・技能を活用する問題
    B学習意欲や学習習慣・生活習慣
    C自分への自信の欠如
    D体力の低下
  このため文部科学大臣から21世紀を生きる子ども達の教育の充実を図るため、国の教育課程の基準全体の見直しについて検討するよう、中央教育審議会に対して要請をした。中央教育審議会答申では、上記のような児童生徒の課題を踏まえ、基礎的・基本的な知識・技能の習得や思考力・判断力・表現力等の育成、学習意欲の向上や学習習慣の確立などを基本的な考え方として、学習指導要領の改善の方向が示された。
  この答申を踏まえ、新学習指導要領では、「言語教育の充実」とともに「理数教育の充実」が掲げられ、体験的活動や反復学習を充実させ、基礎的・基本的な知識・技能を定着させるとともに、身につけた知識・技能を生活や他教科の学習に活用することの重視が挙げられている。
  確かな学力の獲得を図るためには、児童が学習活動の中で課題やその解決方法がわかり、実際に課題解決ができることが不可欠である。課題を自力で解決してこそ学力が身についたと言える。そのために、学習活動の様々な場面で、児童が「わかる」「できる」を積み重ねていくことが大切である。わかったことを実際に自分でやってみてできたという経験は自信になり、算数に対する意欲も高まる。また、身についたことを次の課題に生かして解決することができる。その活動が算数的活動であり、指導過程に合わせ、効果的に活用していくことが求められる。新学習指導要領でも、算数的活動の意義とともに各学年での具体的な活動内容が初めて示され、算数的活動の一層の充実が述べられている。
  そこで、本校では、算数的活動を効果的に活用することを通して、児童が意欲的に学習に参加し、「わかる」「できる」を実感するための授業を創造するために本研究主題を設定した。 
 (2)学校教育目標から
変化する社会の中で、自ら学び、心豊かに、たくましく生き抜く子どもの育成
            〜 かしこく  やさしく  たくましく 〜
 <本年度の重点>
 (かしこく)  ・学力の向上を図る。 ・学習規律の確立。
 (やさしく)  ・道徳の充実。 ・基本的な生活習慣の確立と自主的な奉仕活動。
 (たくましく) ・体育指導の充実と体力の向上。 ・長欠児童への対応。

    
本校では、「かしこく やさしく たくましく」を合い言葉に、「よく考え、自ら学ぶ子」「思いやりがあり、よく働く子」「健康で元気な子」の育成を目指している。
「よく考える」ためには、まず、課題が何であるかをつかむことが大切である。また、その課題を解決しようとする意欲がなければ考えることはできない。
算数的活動の効果的な活用によって、課題に取り組み、身につけた基礎的・基本的な知識・技能を基盤にしながら、自分の力で課題解決の方法を「よく考える」ことができるようにしたい。考える活動の中で「わかる」「できる」を実感し、課題解決につながるものと考える。
自力で課題解決をすることは、変化の激しい社会の中でたくましく生きていくための基盤になると考え、学校教育目標の具現化の一つとして本研究を位置づけた。
 
3 テーマについての基本的な考え方
「わかる」「できる」ということ
【「わかる」とは】   
 ・問題の意味がわかる  
 ・学習の課題がわかる  
 ・解き方がわかる  
 ・計算の仕方がわかる
 ・先生や友達の説明がわかる  
 
【「できる」とは】
・意欲をもって学習に参加できる
・具体物を操作できる
・作図ができる
・計算ができる
・自分の力で問題を解くことができる
・自分の考えを説明できる
・学習したことを活用できる
様々な指導過程の中で算数的活動を効果的に活用し、上記の「わかる」「できる」を数
多く実感することで、児童に算数を学習することの楽しさを味わわせ、学習に対する意
欲を高める。「わかる」「できる」の積み重ねによって児童が自力で課題解決を行うこ
とができる。


算数的活動
算数的活動の3つの目的(指導要領から)
@基礎的・基本的な知識・技能を確実に身につける。  
A思考力・判断力・表現力等を高める。
B算数を学ぶことの楽しさや意義を実感する。
算数的活動の分類
○具体物を用いて数量や図形についての意味を理解する活動
○知識・技能を実際の場面で活用する活動
○問題解決の方法を考え、説明する活動
☆指導要領に具体的に示された「算数的活動」
1年 2年 3年 4年 5年 6年
説明する
図形をかく・作図する・形を作る 見つける
調べる
問題を解決する
数える
比べる
表す
見つける
見当をつける
表す
比べる
表す
調べる
判断する
実測する
敷き詰める
調べる
活用する
本年度は、どのような算数的活動を授業のどの場面で行うことが「わかる」「できる」
を実感できる授業の創造に有効であるかの実践研究を行う。


4 研究のねらい 
  効果的な算数的活動の活用を通して、児童に学ぶ楽しさを味わわせながら、「わかる」 「できる」を実感する授業を創造する方策を明らかにする。

5 めざす子ども像
 ○課題がわかり、解決できる子
 ○数量に関する基礎的・基本的な知識・技能が身についている子

6 研究の視点
 (1)児童が自分で課題に取り組んだり、解決の方法を考えたりするために、指導過程に合わせ、効果的な算数的活動の活用を図り、「わかる」「できる」を実感できる授業作りをする。
 (2)学力向上推進委員会と連携を図りながら、基礎的・基本的な知識・技能の習得にフレッシュタイムを活用し、反復練習を行い、定着を図る。       

7 研究の内容・方法
 ・「めざす子ども像」に基づく実態調査を行い、本校児童の実態を捉える。
 ・研究の視点に基づく「わかる」「できる」を実感するための効果的な算数的活動の方法を検討する。
 ・授業研究を行い、効果的な算数的活動の活用の方法について検証する。
 ・授業研究や日常実践の反省から研究のまとめをし、成果と課題を明らかにする。


8 研究の経過

 月  日  形式   研  修  内  容
 4  21 全体  ・本年度の研修の方向
 5 12
26
全体
全体
・研究組織つくり,研究テーマ
・年間研修計画
 6  2

16
30
全体
全体
部会
全体
・研究主題,主題設定の理由,研究のねらい
・研究主題,主題設定の理由,研究のねらい,めざす子ども像
・研修計画立案,授業研日程の検討
・指導案形式検討
 7
14
全体・個人
全体
・指導案形式検討,教材研究
・夏季休業中の研修について提案
・教材研究,指導案検討
 8   3
19
全体

全体

部会
*一般研修「通常学級における配慮を必要とする児童の支援」
     講師:臨床心理士 寶川由美子 先生
*一中学区「いろいろなタイプの保護者への対応」
講師:臨床心理士 渡邉 馨 先生
・部会の計画に従って教材研究,指導案検討
 9   8
15
22
29
全体

全体
部会・個人
講師招聘
・夏季休業中研修報告会
・2学期の見通し
・要請授業の持ち方について
・教材研究,指導案検討
・2年1組 岩井「たし算とひき算のひっ算2」 
・4年2組 網代,粕谷「面積」
 10   6
12
18
20
27
部会・個人授業研究 部会授業研究授業研究
・教材研究,指導案検討      
・1年2組 生稲「たしざん(2)」 
・指導案検討
・2年2組 加藤「かけ算(1)」
・6年1組 田村「比例」
 11   2
10
15
17
22
24
授業研究
授業研究
講師招聘
部会・個人
授業研究
部会・個人
・3年   神作,吉見「あまりのあるわり算」
・5年2組 石井「面積」
・1年1組 岡ア「ひきざん(2)」
・4年1組 林 「垂直・平行と四角形」
・教材研究,指導案検討
・ユーカリ2 菊間「かけ算(1)」
・教材研究,指導案検討
 12   1



15
部会・個人
講師招聘
講師招聘
全体
個人
 ・教材研究,指導案検討
・ユーカリ1 平島「面積」
・5年1組 伊藤「単位量あたり」
・6年2組 小池「体積」
・紀要原稿形式,分担提案
・今年度の研修の成果と課題
 1  19
26
個人
部会
・今年度の研修の成果と課題
・今年度の研修の成果と課題
 2   2

16
全体
部会・個人
部会・個人
・今年度の研修のまとめ
・紀要原稿作成・推敲
・紀要原稿作成・推敲・印刷
 3   8  全体  ・来年度の方向性について



9 全体の成果と課題

視点 児童が自分で課題に取り組んだり,解決の方法を考えたりするために,指導過程に合わせ,効果的な算数的活動の活用を図り,「わかる」「できる」を実感できる授業づくりをする。

【問題把握】何を学ぶのかがわかるように課題を明確にしよう。
 本時で何を学ぶのか課題がわかれば,子ども達は意欲を持って学習に取り組むことがきる。そのためには,前時までの学習内容との違いに気づかせたり,問題文の意味を把させたりして,本時の課題を明確にすることが必要である。その方法として,
 @掲示物を提示し,前時までの学習内容を想起させる。
 A問題にあった絵を提示し,視覚から題意を把握させる。 
 B問題文の「わかっていること」と「聞いていること」に線を引き,演算決定をする  のキーワードに着目させる。
など,実態に応じて行うことが有効であった。
 また,子ども達が問題場面をイメージし,題意を把握しやすくするために,問題を生に密着した場面や素材から作る工夫も大切である。

【自力解決】既習事項を活用し,課題を解決しよう。
 問題把握の場面で,「既習事項を活用すれば課題が解決できそうだ」という見通しをつことができれば,課題解決に取り組むことができる。また,自分の考えを整理しなが学習に取り組むことも,自力で課題解決するために大切なことである。その手立てとしは,
 @具体物(ブロック,数え棒,表,図形,立体模型等)を操作することで,自分の考  を具体的にイメージさせる。
 A既習事項の掲示物を提示することで,活用できる内容に気づかせる。
 B習熟度にあったワークシートを用いることで,自力解決の意欲が高める。
C自力解決が困難な児童には,ヒントカードを提示し,既習事項の内容をふり返らせる。 D算数的用語(数,式,図,表など)を用いて自分の考えをノートに書くことで,筋  立てて考えさせる。
など,自分のわかっていることを活用しながら,課題解決する場を確保し,取り組ませことが大切である。

【比較検討】どのように課題を解決したのかが分かるように説明しよう。
 どのように課題を解決したのかを発表し合うことで,多様な考え方があることを知るとができる。自分の考えを伝えるための手立てとしては,
 @どのような既習事項を活用して課題を解決したのかを明らかにさせる。
 A考えを示すための掲示物(ブロック,数え棒,表,図形,立体模型等)を使いなが  自分の考えを説明させる。
B自分の考えを算数的用語(数,式,図,表など)を用いて,説明させる。
など,単なる計算の順序の説明等に留まらず,考えの流れを説明できるようにしたい。 教師は,子どもの考えをつなげるために,一人一人の考えを把握し,意図的な指名をうことが必要である。また,ペアやグループなど学習形態を工夫することでお互いの考を交流し,課題解決のためのよりよい考えに気づかせるようにしていく。 

【まとめ】学習のまとめを確実に行おう。
 本時で何がわかったのかを明確にするために,学習のまとめを行うことが重要である自らの言葉でまとめを文章化すれば,記憶に強く残り,学習内容の定着が図れる。子どが自分の言葉でまとめるための時間を確保し,継続して取り組んでいくことが必要である。 また,教師もまとめから個々の理解度を把握し,次時からの指導に活かすことができる。
【その他】
・学習内容を定着させるためには,まず,学習にしっかり取り組めることが大切である ノートの書き方について指導することで,学習の流れがわかり,学習に取り組みやす なる。また,自分がどのように考えたのかを言葉や図で表すことによって,考えが練 上げられるため,表現力や思考力の育成にもつながると考える。
・算数的活動を充実させ,学習の理解を深めるためには,国語科を中心に他教科におい も書くことや話すことの表現活動を意図的に取り入れていくことが必要である。
・算数は系統性の高い教科であるので,単元の系統を考え,長期的に使うことができる 具を作成しておくとよい。