令和3年度適用税制改正
最終更新日:令和3年1月1日
1.給与所得控除の見直し
・給与所得控除額が一律10万円引き下げられました。
・給与収入が850万円を超える場合の給与所得控除額の上限が195万円に引き下げられました。
なお、特別障害者に該当する者または23歳未満の扶養親族を有する者や特別障害者である扶養親族等を有する者については負担増が生じないようにするため、措置が講じられます。(所得金額調整控除)
”※”の部分は収入金額を4で割り、千円未満の端数を切り捨ててから算出します。
(計算例)給与収入が140万円の場合
1,400,000 - 550,000 = 850,000円(所得金額)
(計算例)給与収入が451万円の場合
4,510,000円 ÷ 4 = 1,127,500円 千円未満切り捨て
1,127,000円 × 3.2 = 3,606,400円 - 440,000円 = 3,166,400円(所得金額)
・給与収入が850万円を超える場合の給与所得控除額の上限が195万円に引き下げられました。
なお、特別障害者に該当する者または23歳未満の扶養親族を有する者や特別障害者である扶養親族等を有する者については負担増が生じないようにするため、措置が講じられます。(所得金額調整控除)
給与等の収入金額 | 給与所得の金額 |
~550,999円 | 0円 |
551,000円~1,618,999円 | 収入金額-550,000円 |
1,619,000円~1,619,999円 | 1,069,000円 |
1,620,000円~1,621,999円 | 1,070,000円 |
1,622,000円~1,623,999円 | 1,072,000円 |
1,624,000円~1,627,999円 | 1,074,000円 |
1,628,000円~1,799,999円 | ※収入金額×2.4 +100,000 |
1,800,000円~3,599,999円 | ※収入金額×2.8 -80,000 |
3,600,000円~6,599,999円 | ※収入金額×3.2 -440,000 |
6,600,000円~8,499,999円 | 給与等の収入金額×90%-1,100,000 |
8,500,000円~ | 給与等の収入金額-1,950,000 |
(計算例)給与収入が140万円の場合
1,400,000 - 550,000 = 850,000円(所得金額)
(計算例)給与収入が451万円の場合
4,510,000円 ÷ 4 = 1,127,500円 千円未満切り捨て
1,127,000円 × 3.2 = 3,606,400円 - 440,000円 = 3,166,400円(所得金額)
2.雑所得・公的年金等控除の見直し
・公的年金等控除額が一律10万円引き下げられました。
・年金収入が1,000万円を超える場合の控除額に195.5万円の上限が設けられます。
また、公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円超の場合、その所得金額に応じて公的年金等控除額が段階的に引き下げられることとされました。
(業務欄の追加)
業務に係る雑所得とは、副業に係る雑収入のうち、営利を目的とした継続的なものを指します。
原稿料、講演料またはネットオークションなどを利用した個人取引若しくは食料品の配達などの副収入による所得が例として挙げられます。
・年金収入が1,000万円を超える場合の控除額に195.5万円の上限が設けられます。
また、公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円超の場合、その所得金額に応じて公的年金等控除額が段階的に引き下げられることとされました。
年 金 受 給 者 の 年 齢 |
公的年金等 の収入金額 |
公的年金等雑所得の金額 | ||
公的年金等雑所得以外の所得に係る合計所得金額 | ||||
1,000万円以下の場合 | 1,000万円を超え 2,000万円以下の場合 |
2,000万円を超える場合 | ||
65 歳 以上 |
3,300,000円未満 | 「収入金額 -1,100,000円」で求めた金額 |
「収入金額 -1,000,000円」で求めた金額 |
「収入金額 -900,000円」で求めた金額 |
3,300,000円以上 4,100,000円未満 |
「収入金額×0.75-275,000円」で求めた金額 | 「収入金額×0.75-175,000円」で求めた金額 | 「収入金額×0.75-75,000円」で求めた金額 | |
4,100,000円以上 7,700,000円未満 |
「収入金額×0.85-685,000円」で求めた金額 | 「収入金額×0.85-585,000円」で求めた金額 | 「収入金額×0.85-485,000円」で求めた金額 | |
7,700,000円以上 10,000,000円未満 |
「収入金額×0.95-1,455,000円」で求めた金額 | 「収入金額×0.95-1,355,000円」で求めた金額 | 「収入金額×0.95-1,255,000円」で求めた金額 | |
10,000,000円以上 | 「収入金額 -1,955,000円」で求めた金額 |
「収入金額 -1,855,000円」で求めた金額 |
「収入金額 -1,755,000円」で求めた金額 |
|
65 歳 未満 |
1,300,000円未満 | 「収入金額 -600,000円」で求めた金額 |
「収入金額 -500,000円」で求めた金額 |
「収入金額 -400,000円」で求めた金額 |
1,300,000円以上 4,100,000円未満 |
「収入金額×0.75-275,000円」で求めた金額 | 「収入金額×0.75-175,000円」で求めた金額 | 「収入金額×0.75-75,000円」で求めた金額 | |
4,100,000円以上 7,700,000円未満 |
「収入金額×0.85-685,000円」で求めた金額 | 「収入金額×0.85-585,000円」で求めた金額 | 「収入金額×0.85-485,000円」で求めた金額 | |
7,700,000円以上 10,000,000円未満 |
「収入金額×0.95-1,455,000円」で求めた金額 | 「収入金額×0.95-1,355,000円」で求めた金額 | 「収入金額×0.95-1,255,000円」で求めた金額 | |
10,000,000円以上 | 「収入金額 -1,955,000円」で求めた金額 |
「収入金額 -1,855,000円」で求めた金額 |
「収入金額 -1,755,000円」で求めた金額 |
(業務欄の追加)
業務に係る雑所得とは、副業に係る雑収入のうち、営利を目的とした継続的なものを指します。
原稿料、講演料またはネットオークションなどを利用した個人取引若しくは食料品の配達などの副収入による所得が例として挙げられます。
3. 基礎控除の見直し
1. 基礎控除額が10万円引き上げられました。
2. 合計所得金額が2,400万円を超える納税義務者についてはその合計所得金額に応じて控除額が徐々に少なくなり、合計所得金額が2,500万円を超える納税義務者については基礎控除の適用はできないこととされました。
基礎控除が消失する合計所得金額が2,500万円を超える人には、調整控除が適用されないこととされます。
2. 合計所得金額が2,400万円を超える納税義務者についてはその合計所得金額に応じて控除額が徐々に少なくなり、合計所得金額が2,500万円を超える納税義務者については基礎控除の適用はできないこととされました。
合計所得金額 | 基礎控除 |
2,400万円以下 | 43万円 |
2,400万円超 2,450万円以下 |
29万円 |
2,450万円超 2,500万円以下 |
15万円 |
2,500万円超 | 0円 |
基礎控除が消失する合計所得金額が2,500万円を超える人には、調整控除が適用されないこととされます。
4. 所得金額調整控除の創設
下記に該当する場合は、給与所得から所得金額調整控除が控除されます。
1.給与等の収入金額が850万円を超え、次のアからウのいずれかに該当する場合(租税特別措置法第41条の3の3第1項)
ア. 特別障害者に該当する
イ. 年齢23歳未満の扶養親族を有する
ウ. 特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する
所得金額調整控除額=(給与等の収入額(1,000万円を超える場合は1,000万円)-850万円)×10%
2.給与所得および公的年金等に係る雑所得があり、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額合計額が10万円を超える場合(租税特別措置法第41条の3の3第2項)
所得金額調整控除額=(給与所得控除後の給与等の金額(10万円を超える場合は10万円)+公的年金等に係る雑所得の金額(10万円を超える場合は10万円))-10万円
※:1.の控除がある場合は、1.の控除を使用した後の金額から控除します。
(計算例)
65歲以上で給与収入4,000,000円、年金収入1,150,000円の場合
給与所得控除額 1,240,000円
年金控除額 1,100,000円
所得金額調整控除前 給与所得金額(給与) 4,000,000円÷4×3.2-440,000=2,760,000円
(給与所得の算出方法は給与所得の見直しをご覧ください。)
所得金額調整前 年金等雑所得金額(年金) 1,150,000円-1,100,000円=50,000円
所得金額調整控除額 100,000円(給与所得金額が2,760,000円のため限度額の100,000円となる)+50,000円(年金等雑所得金額)-100,000円=50,000円
給与所得金額 4,000,000円-1,240,000円-50,000円=2,710,000円
1.給与等の収入金額が850万円を超え、次のアからウのいずれかに該当する場合(租税特別措置法第41条の3の3第1項)
ア. 特別障害者に該当する
イ. 年齢23歳未満の扶養親族を有する
ウ. 特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する
所得金額調整控除額=(給与等の収入額(1,000万円を超える場合は1,000万円)-850万円)×10%
2.給与所得および公的年金等に係る雑所得があり、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額合計額が10万円を超える場合(租税特別措置法第41条の3の3第2項)
所得金額調整控除額=(給与所得控除後の給与等の金額(10万円を超える場合は10万円)+公的年金等に係る雑所得の金額(10万円を超える場合は10万円))-10万円
※:1.の控除がある場合は、1.の控除を使用した後の金額から控除します。
(計算例)
65歲以上で給与収入4,000,000円、年金収入1,150,000円の場合
給与所得控除額 1,240,000円
年金控除額 1,100,000円
所得金額調整控除前 給与所得金額(給与) 4,000,000円÷4×3.2-440,000=2,760,000円
(給与所得の算出方法は給与所得の見直しをご覧ください。)
所得金額調整前 年金等雑所得金額(年金) 1,150,000円-1,100,000円=50,000円
所得金額調整控除額 100,000円(給与所得金額が2,760,000円のため限度額の100,000円となる)+50,000円(年金等雑所得金額)-100,000円=50,000円
給与所得金額 4,000,000円-1,240,000円-50,000円=2,710,000円
5. 未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し
これまで、同じひとり親であっても、離婚・死別であれば寡婦(夫)控除が適用されるのに対し、未婚の場合は適用されず、婚姻歴の有無によって控除の適用が異なっていました。また、男性のひとり親と女性のひとり親で控除の額が違うなど、男女の間でも扱いが異なっていました。
そこですべてのひとり親家庭に対して公平な税制支援を行う観点から、以下の見直しを行います。
変更点
1.ひとり親控除の創設
婚姻歴の有無や性別にかかわらず、生計を同じとする子(総所得金額等が48万円以下)を有する単身者について、「ひとり親控除」(控除額30万円)を適用することとなりました。
2.寡婦控除の見直し
ひとり親に該当しない寡婦については、引き続き寡婦控除(控除額26万円)を適用することとし、子以外の扶養親族を持つ寡婦については、新たに所得制限(合計所得金額500万円以下)を設けることとなりました。
注記:ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者は対象外とされました。
3.個人住民税の非課税措置の見直し
上記の対応を踏まえ、現行の寡婦、寡夫、単身児童扶養者(児童扶養手当を受給している18歳以下の児童の父または母)に対する個人住民税の人的非課税措置を見直し、ひとり親及び寡婦を対象とします。
そこですべてのひとり親家庭に対して公平な税制支援を行う観点から、以下の見直しを行います。
変更点
1.ひとり親控除の創設
婚姻歴の有無や性別にかかわらず、生計を同じとする子(総所得金額等が48万円以下)を有する単身者について、「ひとり親控除」(控除額30万円)を適用することとなりました。
2.寡婦控除の見直し
ひとり親に該当しない寡婦については、引き続き寡婦控除(控除額26万円)を適用することとし、子以外の扶養親族を持つ寡婦については、新たに所得制限(合計所得金額500万円以下)を設けることとなりました。
注記:ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者は対象外とされました。
3.個人住民税の非課税措置の見直し
上記の対応を踏まえ、現行の寡婦、寡夫、単身児童扶養者(児童扶養手当を受給している18歳以下の児童の父または母)に対する個人住民税の人的非課税措置を見直し、ひとり親及び寡婦を対象とします。
配偶関係 | 死別 | 離別 | 未婚 | ||
---|---|---|---|---|---|
扶養親族有り(子) | 30万円 | 30万円 | 30万円 | ||
扶養親族有り(子以外) | 26万円 | 26万円 | なし | ||
扶養親族無し | 26万円 |
なし |
なし |
配偶関係 | 死別 | 離別 | 未婚 |
---|---|---|---|
扶養親族有り(子) | 30万円 | 30万円 | 30万円 |
扶養親族有り(子以外) | なし | なし | なし |
扶養親族無し | なし | なし | なし |
6. 扶養控除等の所得金額の要件等の見直し
要件等 | 改正後 | 改正前 |
---|---|---|
同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件 | 合計所得金額48万円以下 | 合計所得金額38万円以下 |
配偶者特別控除に係る配偶者の合計所得金額要件 | 合計所得金額48万円超133万円以下 | 合計所得金額38万円超123万円以下 |
勤労学生控除の合計所得金額要件 | 合計所得金額75万円以下 | 合計所得金額65万円以下 |
障害者、未成年者、寡婦及びひとり親に対する非課税措置の合計所得金額要件 | 合計所得金額135万円以下 | 合計所得金額125万円以下 |
家内労働特例(必要経費の最低保証額) | 55万円 | 65万円 |
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