【県指定有形民俗文化財】神余の弘法井戸

最終更新日:令和6年6月19日

指定名称

神余の弘法井戸
(かなまりのこうぼういど)

種別

千葉県指定有形民俗文化財

指定日

議決:昭和30年(1955)12月15日 告示:昭50年(1975)11月14日

所在地

館山市神余巴川

所有者

神余区

概要

神余字畑中の巴川(ともえがわ)に、やや黄色味をおびた塩水がわき出しているところがあります。実際には、川のなかから天然ガスがふき出しているのですが、地元ではこれを「塩井戸(しおいど)」あるいは「弘法井戸」と呼んでいます。真言宗の開祖空海(弘法大師:宝亀5年(774)~承和2年(835))にかかわる弘法井戸の伝説は、全国各地に広く分布していますが、神余には次のような伝説があります。

大同4年(809)11月24日、金丸巨麻太宗光(かねまりこまたむねみつ)の家臣杉浦吉之丞(きちのじょう)の妻が、夫の死後その霊を弔いながら貧しい生活をしていたところ、旅の僧が訪れました。女性は小豆粥をもてなしましたが、その粥に塩気がないのを不思議に感じて僧が尋ねると、貧しくて塩が買えないと答えました。すると僧は川に降り、手に持った錫杖(しゃくじょう:僧の持つ杖)を地面に突き刺し、祈祷をしました。そして錫杖を引き抜くと、塩辛い水がふき出したといいます。以来、そのおかげで塩を手にいれることができるようになりました。その後、その僧が弘法大師であることがわかったそうです。神余に残るこの言い伝えは、千葉県内に残る典型的な弘法伝説だとされています。

弘法井戸の伝説は、弘法大師の偉大さを語る人びとによって広められ、これに水の信仰や、外部から訪れる人を迎えいれ、食事を出し、宿泊させる異人歓待などの考えが加わり、うまれたものと考えられています。また全国各地に、その土地の人びとの真心に弘法大師が報いたという形式の物語が広がっているのは、かつてそれを説いてまわった修験者など、密教系の宗教者の存在があったとみられています。
 
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