し尿処理の歴史
最終更新日:令和3年7月29日
この数年で、「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉が浸透してきました。
「SDGs」は、2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟193カ国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。
17の項目をもとに、「持続可能な社会」を作るため私たちがどのように地球と向き合っていくのか、あらためて考え直そうというものです。
その中でも、私たちの暮らしに身近な問題が「ごみ」です。
「持続可能な社会を築くために何をしたらよいのか」。私たちが考え、行動する時に、先人たちが積み重ねてきた歴史が、道しるべになるかもしれません。
我が国のし尿処理の歴史-清掃法(1954年)制定以前
館山市の「し尿処理の歴史」
年 | 事 項 | |
昭和29年 (1954) |
4月 | ○ 「清掃法」制定。ごみ、し尿、動物の死体などの「汚物」を衛生的に処理し、生活環境を清潔にすることにより、「公衆衛生の向上」を図ることが目的とされました ○ し尿の処理主体が全国の市町村に拡大され、新たに設けられた「特別清掃地域」では、みだりに汚物を投棄することが禁止されました |
昭和30年代 前半 |
○ 館山市の特別清掃地域は、館山・北条・那古・船形地区が指定され、指定地域外は自己処理することが規定されました ○ 汚物取扱業の許可業者2社が、5台のバキュームカーと数台の補助車により収集を実施しました ○ 汚物取扱業者は農家と協定を結び、し尿の農業利用を進めていましたが、農業生産に化学肥料が大量に利用されるようになり、し尿の需要が急速に低下しました ○ 汚物取扱業者は、市内百数十ヵ所にし尿貯留槽を設け処分しましたが貯留する場所が足りなくなり、し尿が海や川に投棄されました ○ 市は防空壕跡を借受け、し尿貯留槽をつくり、汚物取扱業者に提供しましたがそれでも不足し、貯留する場所がなくなりました ○ 市は、PTA連合会から学校だけでも清潔を保って欲しいと要望を受け、医師会からは公衆衛生の観点から急いで対策を立てるよう勧告を受けました |
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昭和36年 (1961) |
6月 | 市議会で、し尿処理場の建設が議決されました |
8月 | し尿処理場建設について建設予定地の地元が反対。地元三新聞社が主催し、市・議会・学識経験者・婦人会・PTA・地元代表による座談会が行われました | |
9月 | 市が、学校、図書館等の汲み取りを行うためバキューム車を購入しました | |
12月 | 市議会が、し尿処理場建設をあらためて議決し、建設地が神戸地区藤原に決まりました | |
昭和38年
(1963)
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4月 | 藤原に、し尿処理施設「衛生処理場」が完成。総工費8,000万円、建設面積620m2、処理能力45㎘/日。放流水の一部は山上に上げられ、付近の畑10aを灌漑しました |
6月 | 館山市清掃条例施行。許可業者のし尿収集手数料は18ℓにつき20円と定められました | |
昭和40年 (1965) |
7月 | 〇 市清掃条例が改正され、し尿収集手数料は、一般家庭の料金が人数による定額制(1~2人100円、3~5人200円、6~8人300円、9~10人400円)に、事業所は従量制(25円/18ℓ)に変更されました 〇 サービス改善のため、許可業者の地域指定が始まりました |
昭和44年
(1969)
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6月 | し尿取集時に作業員が集金していた手数料の集金人制度が始まりました |
昭和45年 (1970) |
8月 | し尿の収集に市の1台、許可業者2社の11台、計12台のバキュームカーが使用されました。1日に排出されるし尿の量は、衛生処理場の処理能力限界の45㎘ |
12月 | ○ 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」が制定され、公衆、衛生問題対策としての廃棄物処理に加え、公害問題への取組も含めた「生活環境の保全」が目的とされました ○ 廃棄物は「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に区分され、一般廃棄物については従来どおり市町村に処理責任があり、し尿、浄化槽汚泥は一般廃棄物に分類されました |
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昭和47年
(1972)
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4月 | 清掃条例が改正され、し尿収集手数料は、一般家庭が定額制で1人1カ月80円、事業所は従量制で18ℓにつき40円に変更されました |
9月 | 館山市清掃条例が廃止され、館山市廃棄物の処理及び清掃に関する条例が制定されました | |
11月 | 衛生処理場の1日の処理量は、処理能力を上回る70㎘。許可業者1社の7台、市の1台、合計8台のバキュームカーがし尿を収集しました | |
昭和49年 (1974) |
7月 | 廃棄物の処理及び清掃に関する条例の改正により、し尿収集手数料が、一般家庭は定額制で1人1カ月100円、事業所は従量制で18ℓにつき50円に変更されました |
9月 | し尿収集を1社で行ってきた許可業者から、許可返上の通知があり、市は急遽、財団法人館山市環境保全公社を設立し、公社がし尿収集を開始しました | |
昭和50年 (1975) |
8月 | 市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の改正により、し尿収集手数料は、一般家庭が定額制で1人1カ月100円が165円に、事業所は従量制で1ℓにつき2円77銭が4円60銭に値上げされました |
10月 | ○ 新たな し尿処理施設「衛生センター」建設を検討するため、市役所内にプロジェクトチーム、市企画審議委員会内に専門部会が設置されました ○ 衛生処理場は、夏になると処理能力をはるかに超える80㎘以上をフル操業で処理しました |
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昭和51年 (1976) |
4月 | 市環境保全公社が行うし尿汲取手数料の集金が、毎月から2カ月に1回と改められ、新たに口座振替制度が始まりました |
6月 | 館山市は市清掃事業運営審議会に「衛生センター」建設候補地について諮問し、住民と十分話し合いを行い、同意を得ることの条件付きで答申を受けました | |
11月 | 衛生センター建設の理解を図るため、漁業関係者が広島県、観光協会と地域住民が長野県のし尿処理施設を視察しました | |
昭和52年
(1977)
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4月 | 市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の改正により、し尿収集手数料は、一般家庭が定額制で1人1カ月165円が230円に、事業所は従量制で1ℓにつき4円60銭が6円40銭に値上げされました |
9月 | 衛生センター建設候補地の地元が反対。館山市は、候補地を変更するため選定の見直しを始めました | |
昭和54年
(1979)
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4月 | 市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の改正により、し尿収集手数料の定額制が廃止され、従量制10ℓにつき64円に変更されました |
5月 | 衛生センター建設地が出野尾に決まりました | |
昭和56年 (1981) |
10月 | 衛生センターが完成。総工費約18億円、2階建、延床面積2,020m2、処理能力100㎘/日。希釈水が不要な高付加脱窒素処理方式(IZジェットエアレーションシステム)を採用した最新鋭の施設 |
昭和57年
(1982)
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2月 | 衛生センター竣工式が行われ、IZジェットエアレーションシステムの基本技術を提供したオーストリアの駐日大使が臨席されました |
4月 | ○ 市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の改正により、し尿収集手数料が10ℓにつき64円から90円に値上げされました。市約17,000世帯のうち、くみ取り世帯は約11,000世帯 ○ 受益者負担の原則を明確にするため、当初10ℓにつき120円の改正案が市議会に提案されましたが、市民生活への影響が大きいと修正されました |
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昭和59年 (1984) |
4月 | ○ 市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の改正により、し尿収集手数料が10ℓにつき90円から110円に引き上げられました。市約18,000世帯のうち、くみ取り世帯は約11,000世帯 ○ 値上げの理由は、市環境保全公社の大きな赤字。受益者負担の原則を明確にし、3年間を見越した料金が設定されました |
平成4年 (1992) |
4月 | ○ 市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の改正により、し尿収集手数料が10ℓにつき110円から140円に引き上げられました ○ 市環境保全公社の累積赤字は平成3年度末で約5,600万円。公社の経営立て直しが値上げの理由 |
平成9年 (1996) |
9月 | ○ 市環境保全公社理事会の議決により、し尿収集手数料が10ℓにつき140円から175円に引き上げられました。平成8年度末までの公社の累積赤字は3,916万円 ○ 浄化槽設置世帯が増加し、くみ取り世帯が平成8年度には8,265世帯まで減少 |
平成27年 (2015) |
3月 | 館山市環境保全公社が、し尿収集業務を終了し解散しました。市約23,000世帯のうち、くみ取り世帯は約3,900世帯 |
4月 | 浄化槽清掃業者4社が組織する館山市環境保全協同組合(現:館山市環境保全協業組合)が、し尿収集業務を開始しました |
写真で見る「館山市のし尿処理の歴史」
📷 昭和36(1961)年8月7日 地元三新聞社が主催した「し尿問題の座談会」
📷 昭和37(1962)年6月 建設が進む衛生処理場
📷 昭和38(1963)年1月 完成間近の衛生処理場
📷 昭和47(1972)年頃 衛生処理場
📷 昭和51(1976)年2月 老朽化が進む衛生処理場
📷 昭和57(1982)年2月27日 衛生センター竣工
📷 昭和50年代のし尿収集の様子
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建設環境部環境課一般廃棄物係
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